改正家族法の要点と解説2ー監護者指定と監護の分掌について
改正家族法解説の第2弾として、今回は「親権」と混同されやすい「監護(かんご)」について解説をします。実は、改正法ではこの「監護」に関するルールが非常に具体的になり、これまで以上に多様な育て方が可能になりました。

1.「親権」と「監護」を整理しよう
まず、言葉の定義を確認しておきましょう。「親権」とは、子の監護教育、居所の指定、財産管理、法定代理などを含む包括的な権限のことをいいます。次に、「監護」とは、実際に子と一緒に暮らし、日々の世話や教育を行う役割。改正法では、監護権のみを持つ「監護者」の権利義務の範囲が明確化されました。改正前の民法では、親権者=監護者であるのが一般的であり、監護者については特段問題にする必要がありませんでした。
しかし、改正法では、父母がともに親権者である状態、すなわち「共同親権」が導入されたことで、実際に子を誰がどのように育てるのかが問題になります。親権者=監護者ではなくなったことから、親権者間において監護についての話し合いが必要になったのです。そして、子の監護についての取り決めにおいては、大きく分けて(1)監護者を定める方法と、(2)監護の分掌(ぶんしょう)を定める方法があります。
2.監護者の「優先的な権限」とは
改正法では、「監護者」と定められた親は、子の監護及び教育、居所の指定などの事項について、包括的な権利義務を持ち、これらを単独で行うことができます。共同親権であっても、監護者以外の親権者は、監護者がこれらの行為をすることを妨げてはならないと規定され、優先関係がはっきりしました。
3.監護の分掌とは
今回の改正で新しく加わったのが、監護を父母で分け合う「分掌」という考え方です。具体的には、以下の2つの方法が想定されています。
期間の分掌(交代監護):父母が一定の期間ごとに子を交替で監護することです。
事項の分掌:教育に関する事項や医療に関する事項など、特定の抽象的な事項について監護の権限を父母の一方に委ねることです。
4.「交代監護(期間の分掌)」のハードル
交代監護は、父母が協力して子を育てるスタイルですが、現実的に可能であることや、子に過度な負担を与えないことが必要です。裁判所がこれを判断する際には、以下の要素を検討します。
1.父及び母の住居間の距離や移動時間。
2.父母の関係性(緊密に協力し合える関係を安定して継続できるか)。
3.子の年齢、心身の状況、学校や習い事の状況。父母が緊密に協力し合える関係にあることが不可欠な条件となります。
5.養育費への影響はどうなる?
期間の分掌をする場合、父母が交代で監護するため、養育費の額にも影響を与える場合があります。ただし、単に監護の日数で日割り計算をするのは相当ではない場合もあります。実務上は、算定方式に従って基本額を算定した上で、それぞれの期間での負担状況などの事情を総合考慮して修正するものとされています。
6.監護者を定める「必要性」の検討
これまでの実務では、どちらが子を監護するかを争う場合に監護者指定が利用されてきました。しかし新法下では、特定の事項に係る親権行使者の指定や監護の分掌など、複数の選択肢が用意されています。そのため、包括的な権限を持つ「監護者」をあえて定める必要があるのか、慎重に検討されることになります。
7.まとめ
改正法は、父母が協力して子を支えるための柔軟な選択肢を増やしました。共同親権にしつつ、監護の役割をどう分けるのか。その選択肢が増えた分、これまで以上に父母間の冷静な話し合いと、何よりも「子の利益」を最優先に考えた判断が求められます。お子さんの笑顔を一番に守れる形を、一緒に探していきましょう。

