離婚するための手続にはどのようなものがありますか?

離婚するための手続としては,大きく分けて,①話し合いによる「協議離婚」,②裁判所の調停による「調停離婚」,③裁判による「訴訟離婚」があります。

協議離婚の際には離婚協議書を作成した方がよいですか?

養育費や財産分与などについて確実に履行してもらうために,離婚協議書を作成すること推奨しています。特に,お子さんがまだ幼い場合には,この先十数年間もの間養育費を支払ってもらう必要があるため,滞納があった場合にはすぐに強制執行ができる公正証書による離婚協議書の作成がおすすめです。

相手が離婚に応じてくれない場合にはどうすればよいですか?

いわゆる「協議離婚」が難しい場合には,裁判所に調停を申し立て,調停手続のなかで離婚について協議することになります。調停での協議がまとまらない場合には,裁判を申し立てて,裁判官に離婚を認めてもらうという順番で手続をすすめます。法律の規定により,原則として調停を申し立てずに裁判を申し立てることはできません。これを「調停前置主義」といいます。

調停とはどのような手続ですか?

当事者が裁判所に赴き,調停員を介して協議を行う手続です。調停委員の待機している部屋に当事者が交互に入り,互いに顔を合わせることなく協議をすることができます。もちろん,待合室も当事者ごとに用意されています。要望があれば集合時間や解散時間もずらしてもらうことができます。そのため,DV被害者など,相手方当事者と顔を併せたくない方であっても,安心して協議をすることができます。

法律ではどのような場合に裁判で離婚が認められると規定されていますか?

私法の一般法である「民法」という法律に,① 配偶者に不貞な行為があったとき,②配偶者から悪意で遺棄されたとき,③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき,④配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき,⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるときには,離婚の訴えを提起することができるという規定があります(770条1項)。この①から⑤の事情のことを,一般的に「離婚事由」といい,離婚裁判ではこのような離婚事由が存在することを主張立証していくことになります。

有責配偶者とは何ですか?

一般的に,「有責配偶者」とは,夫婦関係の破綻の主たる原因をつくった配偶者のことを指します。例えば,不貞や家庭内暴力をした一方配偶者がこれに該当します。

有責配偶者からの離婚請求はできないのですか?

有責配偶者であっても,離婚の請求自体は可能です。ただし,協議離婚や調停離婚とはことなり,訴訟では,一定の条件を満たさない限り有責配偶者からの離婚請求は信義誠実の原則に反するものとして認められない運用となっています。

裁判で有責配偶者からの離婚が認められる条件はどのようなものですか?

判例によれば,有責配偶者からの離婚請求であっても,①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること,②自立していない未成熟の子が存在しないこと,③相手方配偶者が離婚により精神的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれないこと,という3つの条件を吟味し,有責配偶者からの離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような事情がない場合には例外的に離婚が認められるとされています(最大判昭和62年9月2日民集41巻6号1423頁)